お知らせ
2021年9月: 平班ではポスドク・大学院生を募集しています。興味のある方は平までメールください。⇒東京医科歯科大学大学院細胞生理学分野 riichirohira@gmail.com
2021年9月: 神経回路学会でシンポジウムを行います。
2021年7月: 第44回神経科学大会でシンポジウムを行いました。
領域概要
医学・生物学は20世紀以降、感染症に対する抗生物質や、遺伝病に対する遺伝子変異の発見などの還元主義的な発想によって成功してきた経緯があり、実験神経科学が脳機能や疾患の根拠を、分子や細胞、脳領域の局所的性質に求めてきたのは歴史的に必然であったと言えます。一方、近年のビッグデータ解析・AIの発展および、大規模計測・シミュレーション技術の発展を鑑みれば、還元主義的な解像度を維持しながらそれを対象全体にまで拡張可能となりつつあることがわかります。例えば、2光子カルシウムイメージングにより同時記録できる神経細胞数は10年で約1,000倍の爆発的な増大となっており。計算機シミュレーションにおいても、リアリスティックな単一細胞形態の情報を維持しつつヒト全脳スケール(げっ歯類の全脳数百個体に相当)にまで拡張することが富岳などの2020年代の最先端スパコンを用いることで可能となりつつあります(図)。本領域は、このような単一細胞解像度を維持しながら俯瞰的視野を同時に得る新しい潮流を捉え、脳の全体性に潜む原理を探求します。
神経活動同時記録数とシミュレーション数の指数関数的増大
計画研究
A01. 全脳大規模多重計測 平 理一郎 (東京医科歯科大学)
課題名:大規模多重神経活動記録による脳の全体性の解明
A01-1. 全脳大規模多重記録法の開発
A01-2. AI複合型閉ループライブコネクトームシステムの開発
A01-3. 回路トポロジーとダイナミクスの大規模シミュレーションへの統合
→脳の単位体性、整合性、持続的発展性の実体解明
A02. 全体性脳疾患 堤 新一郎 (理化学研究所)
課題名:大脳小脳大規模多軸観察による精神疾患における全体性崩壊機構の解明
A02-1. 大脳小脳大規模2光子イメージング
A02-2. 複数の認知タスクと転移学習
A02-3. 薬理学・遺伝学的精神疾患モデル
→全体性の崩壊と精神疾患との因果関係に迫る
A03.全脳シミュレーション 五十嵐 潤 (理化学研究所)
課題名:げっ歯類全脳シミュレーションによる脳の全体性の解明
A03-1. げっ歯類全脳―全身体シミュレーションプラットフォーム開発
A03-2. 全脳規模領域間相互作用による脳の情報処理機構
A03-3. 全脳規模領域間相互作用による脳の疾患機構
→データ同化による全脳活動再現、全体性とその破綻の総体の詳細な解明
A04.ロボティクス・AI 森 裕紀 (早稲田大学)
課題名:脳・身体・環境の相互作用に基づく認知・運動発達の全体性理解
A04-1. 環境・身体・神経系全体の発達モデルの構築
A04-2. 全体性アプローチによる内発的動機モデル:メタ目的関数による認知・行動の創発
A04-3. 全体性の理解と叙述を可能とする解析法
→身体を含めた包括的な全体性の実体解明、全体性AI、全体性解析法の提案
計画班の連携模式図
リソース
コネクトームデータベースのViewerを公開しています。
研究成果
連絡先
未開拓の領域を探索的に進めるため、本領域は皆様のご意見をいただき研究計画を刷新して行きたいと考えています。
コメント、疑問点等ありましたら、領域代表の平までご連絡ください。
東京医科歯科大学大学院細胞生理学分野 riichirohira@gmail.com
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